ばあちゃん家に遊びに行きたくなる。おばあさんが思い出させてくれた、夏休みの思い出

夏休みの記憶


夏休みの思い出は、数えきれないほどある。
田舎のおじいちゃん、おばあちゃんの家に遊びに行ったことも、夏休みの思い出の一つ。

今年の夏、長崎県福江島に旅行にいった。
福江島を1週すると約140Kmあり、大きな町から小さな集落まで、集落がたくさんある。
数ある集落の一つ、荒川集落に、ゲストハウスができたと聞き訪れてみた。

夏休みという言葉自体が、僕にとって過去の思い出になってひさしい。
しかし、ゲストハウスでのできごとが、小学生時代の夏休みのできごとの記憶を蘇らせてくれた。

荒川集落での滞在先



小さな港町、荒川集落は、裏山と海に囲まれている、狭い平地に密集して並ぶ家々と、細い路地が印象的。

ネドコロノラ

荒川集落にできたゲストハウスの名は「ネドコロノラ」。
「ネドコロノラ」は、密集して並ぶ家々の一軒であり、もともと飲食店だった古民家をリノベーションしたんだとか。

路地からネドコロノラに、足を一歩踏み入れると、約10畳くらいの空間があり、空間には、キッチン、テーブル、椅子などが置かれている。

その空間で、宿に滞在する人は食事を作り、食べ、くつろいだりする。
住居でいうところのキッチンとリビングのようなところ。

宿の人でテーブルを囲む


陽が落ちるころ、宿に戻ると、キッチンで夕食を準備したり、テーブルを囲みおしゃべりしている人たちがいる。

荒川集落には、夕食を食べるところがなく、宿も食事を提供しないので、宿に滞在する人は、食事を自分で用意することになる。

一息入れてから、僕もぼちぼちと夕食を作りはじめた。

そうこうしているうちに、その夜、宿に滞在する人たち全員が、夕食を用意し終わる。
たまたま同じ日に、同じ宿に滞在することになっただけで、はじめましての人たちだから、示し合わせたわけではないのだけれど、全員が一つのテーブルを囲み、お酒やお茶などで乾杯する。

とそのとき、通りからの心地よい風が抜けるように開けっぱなしになっている入口から、おばあさんが入ってきた。

おばあさん、あらわる


「これ、食べてえ。」と、おばあさんは、おもむろにテーブルを囲むみんなに何かを差し出す。

寿司だ。

みんな、きょとんとしている。
「さっき、孫が帰っちゃったの。福江に。孫のために買っといたんだけどね。」
「えっ、ありがとうございます!」

おばあさんは、宿の目の前、向かいの家に暮らしているんだとか。

ばあちゃんが思い浮かぶ


僕のばあちゃんは、福岡に住んでいた。
自分のことを「あたきゃ」と言う。
嫌いを「すかん」と言う。

ばあちゃんは、好き嫌いなど、ものごとをはっきりと言う。

ばあちゃんの家に遊びに行く


僕が小学生だったころ、夏休みに、当時住んでいた東京から福岡のばあちゃん家に遊びに行ったことがある。記憶はあいまいで、行ったのは僕一人か、妹と二人。

ばあちゃんの家での夕食は、寡黙なじいちゃんもいる。

食卓に並んでいる皿の一つは、農家であるばあちゃんの家で採れた、皮をむいたキュウリ。
ばあちゃんの家では、皮をむいたキュウリが定番で、これを食べるとばあちゃんの家に来たと感じる。

うれしい気分で食べていると、「あんた、小遣いもらいに来たとね。」と、ばあちゃんは、何事もないようにつぶやく。
僕は何も言わない。

しかし、ばあちゃんよ。
あれは少し傷ついたなあ。
ばあちゃんははっきりと思ったことを言うが、いつも正しいとは限らない。

ネドコロノラのおばあちゃんに話は戻る


さて、「ネドコロノラ」。

「誰も食べてないよ。食べ残しじゃないよ。安心してな。」とおばあさんは、にっ、と笑い、家に帰っていく。



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