例えるなら彼女の知らない一面をみたかのよう。東京御徒町・とんかつ山家


しばらく食べてないと、そろそろ食べませんか?と、頭の中から聞こえてくる食べ物がある。

ぼくの場合、とんかつはそのうちの一つだ。その声にしたがい訪れたのが御徒町、山家。ネットでおすすめ記事を見かけ、いつか行ってみたいと思っていた。


御徒町駅のそばの雑然とした通りを曲がったところに店はある。和風な小ぎれいな店構えだ。扉を開けると、カウンター席が並び、席が空くのを待っている人が視界に入る。ほどなくして、通された席は、目の前で料理人がとんかつを揚げるベストポジション。

揚げ物がたんたんと揚げられるのを、たんたんとながめていると、とんかつ(大)が油に投入された。ほどなくし黄金色になったとんかつ(大)は、しばらく冷まされてからぼくのところにやって来た。

普段はそれほど塩辛いのを食べないのだけれど、とんかつを食べるときは、どぼどぼとソースをかけることにしている。からしをつけ、かつを口に入れる。まるでライチを口に入れたときのように甘い油が口にひろがる。かつを噛むと肉はとてもやわらかい。

ぼくはとんかつを好きだと思っている。どのくらい好きなのかというと、昔、ドラクエ1をしたときの勇者の名前を”とんかつ”にしたくらいに。しかし、とんかつ屋をほとんど知らないし、自分でつくるわけでもない。例えば、スーパーのお惣菜のとんかつで満足なのだ。他の好物も同じようなもので、おいしい食べ物を求めてどこかに訪れるみたいなことをしないし、こだわりもあまりない。

そんなぼくが山家のとんかつに感じたのは、とんかつにはこういうのもあるのか、これはぼくの知らない世界だ、ということ。

好きといっても、案外一面しか知らないのかもしれない。

(2018年3月の訪問記です)
Twitter : @momoyururi

とんかつ山家
https://tabelog.com/tokyo/A1311/A131101/13138428/
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