したいことでなりわいづくり「SORRY KOUBOU」を-30度の北海道下川町で実現。地域おこし協力隊がもつ意味とは?
(本記事は、2018年3月の訪問記です。)
もし、はじめての野菜づくりをすることになったら、何からはじめますか?
野菜づくりのための技術や方法を学んだり、種をまいたり、苗を植えたりするかもしれません。
今回ご紹介するのは、北海道の小さな町、下川町に移住された山田香織さんと小松佐知子さん。自分たちがしたいことをするために、地域おこし協力隊になり、今、自分がしたいことをなりわいにしています。
野菜づくりに例えるならば、お二人にとっての地域おこし協力隊は、野菜づくりの何にあたるのでしょうか。
以下のトピックで、山田さんと小松さんに聞いた話をご紹介します。
- 山田さんと小松さんがはじめたなりわいとは
- SORRY KOUBOUをはじめたきっかけは
- 自分たちがしたいことと地域おこし協力隊のミッションのギャップ
- 話を聞いて感じたこと
山田さんと小松さんがはじめたなりわいとは
ミントの結晶 |
北海道下川町は、人口約3400人の小さな町。下川町の中心市街地から車で15分ほどの小さな集落、一の橋が今回のお話を舞台です。かつては、林業が盛んでしたが、林業は衰退とともに人口は減少し、現在の一の橋の人口は約140人(参照、下川町役場HP)。集落のすぐそばに森がひろがり、川が流れ、暮らしと自然が一体となっているよう。
一の橋で、山田さんと小松さんが昨年立ち上げた会社の名は「SORRY KOUBOU」。「SORRY KOUBOU」の事業は、オーガニックハーブを原料とした化粧品の加工・販売です。自分たちでハーブを栽培し、収穫。それを原料にしています。ハーブは無農薬で育てています。
「SORRY KOUBOU」をはじめたきっかけは?
お話をうかがった際、ワークショップでつくったオーガニック歯磨き粉。後味すっきり! |
東北の沿岸部で暮らしていた山田さんは東日本大震災に被災。たまたま自宅は無事だったのですが、自宅のすぐそばまで津波が押し寄せたそうです。
それがきっかけで「人生には、何があるのかわからない、自分がしたいことをしよう。」と思ったそう。その時に、考えついたのが昔からしたかったものづくり。そして、山田さん自身の体験から関心が強い、肌にやさしい化粧品づくりをすることを決意。化粧品づくりを事業化するのに必要な化学の知識が山田さんになかったため、化学の知識がある友人、小松さんを口説きました。そして、小松さんも一緒に化粧品づくりをすることを決意。
事業を起こす地域の候補の一つだった北海道、下川町が地域おこし協力隊を募集していたのをみつけ、応募。採用され、移住しました。
地域おこし協力隊の採用期間は最長3年間です。採用期間中に、したいこと、すなわち、化粧品づくりの事業化を準備し、採用期間終了後、『SORRY KOUBOU』を立ち上げました。
ところで、地域おこし協力隊には、ミッション(あらかじめ指定された仕事)があることが多いです。例えば、地域の魅力の情報発信であったり。山田さんのミッションは、カフェの運営。小松さんのミッションは、しいたけの製造。
お二人のしたいことと地域おこし協力隊のミッションが異なっているようです。そのへんは、どのように感じていたのでしょうか?
「実は、そこが移住してから、一番大変だったことです。移住後の一年目は、したいことのための活動を全くしませんでした。」
したいことと地域おこし協力隊のミッションのギャップ
ハーブティー |
ところで、地域おこし協力隊には、ミッション(あらかじめ指定された仕事)があることが多いです。例えば、地域の魅力の情報発信であったり。山田さんのミッションは、カフェの運営。小松さんのミッションは、しいたけの製造。
お二人のしたいことと地域おこし協力隊のミッションが異なっているようです。そのへんは、どのように感じていたのでしょうか?
「実は、そこが移住してから、一番大変だったことです。移住後の一年目は、したいことのための活動を全くしませんでした。」
「地域おこし協力隊のミッションや、地域のおばあちゃん、おじいちゃんのお手伝いをする日々。あせる気持ちがつのりました。」
「でも結果として、地域おこし協力隊をしてよかった!、と思っています。」
移住後、一年を過ぎたある日、おばあちゃん、おじいちゃんにあることを伝えたのだそう。
手伝いたい気持ちはあるのだけど、すべての要望に答えることはできない。「私たちにはしたいことがあるの。。。」と。
それをきっかけに、おばあちゃん、おじいちゃんはお手伝いの要望を控えてくれるようになりました。そして、したいことのための活動をはじめ、さらにおばあちゃん、おじいちゃんも活動に協力してくれるようになったんだとか。
この話を聞いてぼくが感じたのは、信用という言葉。新しいコミュニティの中で、新しいことをはじめるには、まず最初にコミュニティの人たちから信用を得る必要がある、と思います。自分がしたいこととは異なるかもしれない地域おこし協力隊のミッションやお手伝いを一生懸命にすることは、地域の人たちから信用を得ること、といえるのかも。
それをきっかけに、おばあちゃん、おじいちゃんはお手伝いの要望を控えてくれるようになりました。そして、したいことのための活動をはじめ、さらにおばあちゃん、おじいちゃんも活動に協力してくれるようになったんだとか。
話を聞いて感じたこと
この話を聞いてぼくが感じたのは、信用という言葉。新しいコミュニティの中で、新しいことをはじめるには、まず最初にコミュニティの人たちから信用を得る必要がある、と思います。自分がしたいこととは異なるかもしれない地域おこし協力隊のミッションやお手伝いを一生懸命にすることは、地域の人たちから信用を得ること、といえるのかも。
野菜づくりをするには、種をまいたり苗を植えたりする前に、まずは土を耕したり、肥料をまいたりし、土づくりからはじめるのに似ています。
何かしら新しいことをはじめるとき、先を急ぎたくなることがあるかもしれません。そんなとき、土台づくりをかっ飛ばし、その上を築いても結局は崩れていまいそうです。まずは、土づくりをしっかりしたいですよね。
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何かしら新しいことをはじめるとき、先を急ぎたくなることがあるかもしれません。そんなとき、土台づくりをかっ飛ばし、その上を築いても結局は崩れていまいそうです。まずは、土づくりをしっかりしたいですよね。