ゲストハウスに泊まりました。駅舎を探したけど見つからなかったので、駅舎跡に駅舎を復元しちゃった宿。 旅人宿&田舎食堂「天塩弥生駅」北海道名寄市
(2018年3月の訪問記)
- まわりに民家がほとんどない森がせまる雪原にぽつんとあるのが旅人宿&田舎食堂「天塩弥生駅」(以下、天塩弥生駅)。
- 天塩弥生駅を切り盛りしているのは、富岡達彦さんと由起子さんご夫婦。
- 天塩弥生駅のモチーフは、その名の通り駅。かつて深名線という鉄道路線が廃止された後、実在した天塩弥生駅は取り壊されます。駅舎の跡地を買い取り、駅舎を新築し、宿&食堂として復元。
- アクセスは、JR名寄駅からバスで10分。「天塩弥生駅」バス停下車。バスがない時間帯は駅からの送迎あり。
つづいて、「天塩弥生駅」を以下のトピックでご紹介します。
- 施設の様子はまさに駅そのもの
- 宿をはじめた経緯を聞いたり、ゆったりとした雰囲気の夜
施設の様子はまさに駅そのもの
旅人宿&田舎食堂「天塩弥生駅」の全景 |
天塩弥生駅の入り口 |
天塩弥生駅がある地域は、寒いときにはマイナス30度くらいまで下がることもある北海道
名寄市。宿を訪れたのは3月。あたり一面の雪原にぽつんと建つ天塩弥生駅は、旅情たっぷりです。
扉を入ったところにある受付でパシャリと |
駅舎の扉をあけ屋内に足を踏み入れると、駅の改札を模した受付に時刻表、そして料金表があったり、そこはまさに駅の待合室のよう。テーブルと椅子があるその部屋は、日中は食堂、夜は宿泊者向けの食堂や共用リビングになります。
蒸気機関車の燃料をくべる装置のようなストーブ |
その部屋には、蒸気機関車の燃料をくべる装置のような形をしたストーブ、駅の待合室で実際に使用されていたベンチが部屋の端にあり、駅にまつわる備品があちこちに。
駅名表示板 |
プラットホームに建つ鉄道用の電柱 |
建物の外を見てみましょう。踏切に、プラットホームに雰囲気のある鉄道用の電柱や駅名表示板があります。建物内外の随所から、こだわりと遊び心が伝わってきて楽しい気持ちになります。
夕食のハンバーグ |
夕食のグラタンのような一品 |
天塩弥生駅では、夕食、朝食をいただけます。夕食は、ハンバーグに、グラタンのような一品に、魚料理に、小鉢とボリュームたっぷり。寝室は、男女別のドミトリー(相部屋)と個室。ドミトリーには2段ベッドが2つ。最大10人まで宿泊可能です。
一見すると、とても古そうに見える建物は、新築した建物をオールド加工したもの。ですので、二重窓になっていたり、すきま風なんてなく、断熱がしっかりしていてとても快適なのです。
ゆったりとした雰囲気の夜
今回の宿泊は、シーズンオフだったこともあってか宿泊者はぼくひとり。薪ストーブがぱちぱちと音をたて、ゆったりとした雰囲気の中、達彦さんは、宿をはじめる経緯などの話をしてくださいました。
達彦さんは、都内の鉄道会社の元鉄道員。30代になったころ、森がある田舎暮らしにひかれ、北海道下川町に移住し、林業に従事。林業で働きはじめたら林業という仕事は、思いのほか大変だったそう。それを乗り越え、森で林業という仕事をするだけでなく、森という空間を楽しむ団体「さーくる森人類」を立ち上げたり、国内の他地域の林業関係者と連携し、将来、林業をどう活性化させるのかといった活動をはじめるまでにいたりました。
しかし、とあるきっかけで、旅が好きだった達彦さんの夢だった宿をはじめることを決意します。元鉄道員の達彦さんは、鉄道好き。駅をモチーフにした宿にしたいと考え、現存している駅舎を宿に活用できないかと道内をあちこち探しまわりました。しかし、宿に活用できる駅舎に巡りあうことができません。それならばと駅舎跡に駅を再建することにしました。
天塩弥生駅がある名寄市は、下川町のとなり町。駅舎を再建する際、下川町の方々も協力してくれました。そして、2016年3月にオープン。
駅を再建しはじめてからわかったことがあるんだそう。それは、「駅は人が集まる場所」ということ。かつて天塩弥生駅を利用していた方や、天塩弥生駅を利用していた親の子供など、”駅”というキーワードに気持ちが何かしら引っかかる方々が、宿がオープンする前から励ましの声をかけてくれたり、訪れたりしてくれたんだそう。「宿は人が集まるところ。そして、駅も人が集まるところ、というのに気づいたんだ。」と達彦さん。
宿がオープンする前から、駅を再建するという天塩弥生駅のストーリー性が話題となり、新聞やラジオなどのマスコミに取り上げられました。
天塩弥生駅がある土地は、観光地というわけではありません。名寄駅から10分かかるバスの本数は多くありません。土地を買い入れ、駅舎を再建までして、事業が失敗するという不安はなかったのでしょうか?「もちろん不安だったよ。でも、失敗したらまた別なことをすればいいと思ったんだ。」と達彦さん。
最後に
ドミトリー形式のゲストハウスのようであり「とほ宿」という温かいコミュニケーションがある宿でもある天塩弥生駅。滞在中におしゃべりしてくれたのは達彦さんだけでなく、駅長と達彦さんが呼ぶ由起子さんも仕事の合間におしゃべりしてくれました。そんなお二人は、旅人をもてなす今の暮らしを本当に楽しんでいらっしゃいます。
異空間の中で、コミュニケーションを楽しむ天塩弥生駅。駅というキーワードから、宿を利用するのは鉄ちゃんがほとんどなのかと思っていたら、海外の方や、いろんなタイプの旅人さんが訪れるんだとか。たまに訪れる海外の方とのコミュニケーションも楽しいと達彦さんはいいます。今の暮らしを楽しんでいる富岡さんご夫婦がいる天塩弥生駅には、オープンしてから2年程たった今、遠方から何度も泊まりに訪れてくれる方々もいらっしゃいます。
素敵なお二人、旅情たっぷりな異空間、懐かしい落着ける雰囲気のなかで、ゆっくりすごしたり、温かいコミュニケーションを楽しんだりしたい方におすすめです。
旅人宿&田舎食堂「天塩弥生駅」
- 北海道名寄市弥生166-4
- https://ja-jp.facebook.com/teya841/
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