「じょんのび」と過ごし教えてもらったかやぶき屋根が残っている理由。かやぶきの里、新潟県・荻ノ島。


リフレッシュのために旅をしたけど、予定を詰めこみすぎてしまったということはありませんか?

せっかく来たのだから。。。と、したいこと、行きたい場所をどんどんとつめこんでしまうことがあるかもしれません。

今回、ご紹介するのは、かやぶき屋根の小さな農村集落、荻ノ島への訪問記。集落のかやぶき屋根を数十年守られている春日俊雄さん(以下、春日さん)に集落を案内していただきました。

新潟の方言に「じょんのび」という言葉があります。ゆったり、のんびり、芯から気持ち良いという意味。かやぶき屋根に滞在し、囲炉裏で火を囲み、自然を感じつつ、集落でのんびり過ごしていると、じょんのびした気持ちになりました。気づくと何かに追われているかのような普段の生活から解放され、自分に向き合う時間がもてたよう。

環状になっている道をゆっくり散策します
小さな神社



荻ノ島は、新潟県柏崎市高柳町にあります。山あいにある田んぼを囲んだ環状に民家が並ぶ環状集落で、一周は約800m。かやぶき屋根の数は少なくなってきていて、現在約10棟なんだそう。

集落をのんびりと、風を感じながら散策すると、かやぶき屋根の民家だけでなく普通の家があったり、小さな神社があったり、地域の人々が集う集会所があったり。

決して豊かではないこの土地の暮らし。人々が工夫し、助け合いながら暮らしてきた形が、環状集落という形になっているのだそう。

観光というより、かやぶき屋根があり、自然に囲まれ、人々が助け合う田舎の暮らしがそこにあります。


まだまだ雪が積もっています

用水路からは流れの音が聞こえます

田んぼの雪がとけてきて土が顔をだしています
訪れたのは、3月中旬。あたりにはまだかなりの積雪。田んぼには灰がまいてありました。雪が早く溶けるための知恵なんだそう。田んぼのわきにある用水路から静かな流れの音が聞こえ、灰がまかれた田んぼでは雪がとけだし、田んぼがすこし顔を出していました。もうすぐ春です。



滞在したかやぶき屋根の宿泊施設「荻ノ島 かやぶきの宿」。囲炉裏を囲み、ゆっくりと過ぎていく時間の中で過ごします。

荻ノ島を守る活動をはじめたときにつくったポスターを説明してくれる春日さん

ところで、日本に昔はもっとあっただろうかやぶき屋根の集落を、現在ではあまり見かけないと思いませんか?実は、荻ノ島にあるかやぶき屋根は、時の流れに身をまかせていたら、たまたま現在までそれが残っていた、というわけではありません。

荻ノ島は、数十年前からかやぶき屋根がある暮らしが失われつつありました。集落出身の春日さんが都会から数十年前、集落に戻ります。自然とともにあり、人が助け合いながら、文化を形成しているこの集落の暮らしの魅力を再認識したそう。春日さんは、それらを守るための活動をはじめ、人々をまきこみながら現在も活動は続いています。そうして、現在の荻ノ島集落の風景と暮らしがあるのです。

春日さんの話しから感じたのは、自分を信じて、動き、したいことをしつづけることの大切さ。かやぶき屋根を維持するのは簡単ではないこと。維持管理するのが大変だからあきらめるのではなく、自分が信じ、動きはじめること。気が折れそうになることもあると思うのです。でも、あきらめずに信じ続け、動き続けること。その積み重ねが、時を経て、第三者が共感できるかけがえのない魅力をつくりだしているのだと思います。

今回の荻ノ島訪問では、じょんのびできただけでなく、はじめて訪れたのに、なんだかなつかしさも感じました。

機会があったら、じょんのびしに訪れてみてはいかがでしょう。

(備考:2017年3月の訪問記です。)
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